▼道具の詳細 |
南蛮焼は、侘茶の道具として利休時代以来の歴史があります。 本作は、とても素朴な陶器です。赤土を低火度で焼成し、原始的な加飾技法は、純粋な芸術性があってお茶席に相応しいように思います。 この陶器は、東南アジア熱帯地方の道々に、旅をする人や僧侶がいつでも渇きを癒せるようにと、「功徳の心」として置かれる水甕の蓋に用いられているものです。大きな水甕には常に新鮮な水が溜められています。この皿状の素焼の陶器を上に向けて、その上に竹を切っただけのコップを二、三個置いて、木陰に置かれています。表を上に向けて置くのは、コップから零れた水を自然に水甕に戻す為と思われます。仏教国の人々の、清浄で尊い道具です。 全体を足で蹴る、「蹴轆轤」で仕上げた後、縁を輪花状に切り離し、外周の櫛目の模様は、南蛮縄簾水指に見られるデザインと良く似たものと思います。底は、丸く箆で削ってあり、全ての甕の口に収まり良く造られています。 灰器としては、炉縁との接触を避け、なおかつ、広い見込は、蒔き灰を扱い易い形と言えると思います。 話題性のある炭道具として、是非お楽しみください。 南蛮の素焼陶は、菓子器や焼物鉢などにも用いられて伝世するものもあります。 桐箱付。 |
▼寸法 |
径245mm×高60mm |
▼価格 |
50,000円[税込] |