▼道具の詳細 |
徳川幕府御用の装剣金工・横谷宗与(よこや・そうよ)による遠州好大判形灰匙です。 慶長大判の意匠をそのまま灰匙に誂えたもので、茶道具としての大判灰匙の最も古い手と考えられます。 刀装具を専門にした工人だけに、茶道具の遺作は数少なく大変珍しい貴重な作品です。茶道具製作に際して遠州の指導があったものと想像されます。時代を経た金の鍍金の渋い輝きと、名工による色褪せない技が一体となっています。 銅の一枚板から成型した打ち物で、四ヶ所の桐紋は慶長大判と同様の意匠です。 表には非常に鋭い彫りで横筋が入り、桐の丸紋は均一な力によって丁寧に打ち込んであります。炭点前で扱う度に、筋の合間から浮かび上がるような光を備えています。裏は極めて滑らかで、表側の模様を切る力、桐判を打ち込む力が極めて繊細な技術による事が感じられます。 匙の縁や、匙と柄の境目も大変丁寧な仕上げで、綺麗な形をしています。 持ち手は、竹の皮巻をして黒の麻紐で巻いてあります。経年の使用により、手に持って扱う部分(手元から2㎝ほどの位置)だけが、糸が細く痩せています。竹皮も木綿糸も随分古い細工だと思われます。 灰匙先端左側は、長年の使用によって、金の鍍金が退いて銅の素地が少し垣間見られます。 時代の道具らしい見所となっています。 共箱は杉で蓋の甲に「大判形灰ヒ 御金具屋 宗与 ㊞」とあります。 側面の張り紙には「遠州好 大判形灰 さじ」とあり、「遠州公金具師 宗与作 大判形灰匙」の木札があります。 雲華灰器 辻井播磨造 共箱とお使い頂くと、素晴らしい取り合わせになると思います。 |
▼作者について |
横谷宗与(1613-1691) 江戸時代前期の装剣金工。 横谷派の祖。京都で後藤殷乗に師事。寛永年間江戸に下向し、幕府の御用彫物役となる。 名は友周。通称は治兵衛。元禄4年12月17日逝去。78歳。 |
▼寸法 |
総長247mm×匙の幅79mm |
▼価格 |
24万円 [税込] |