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▽道具の詳細
利休好の町棗で有名な秋野棗を再現した棗です。本歌と同様に、黒地に平蒔絵で秋の野を描いたシンプルで味わいのある棗です。
最もスタンダードな意匠で、長く楽しめる道具です。黒漆の素地も綺麗な光沢があり、蒔絵は豪華すぎない侘茶に相応しい雰囲気です。内は黒、蓋と身の合口に金の縁取りがあります。
蓋裏には、大徳寺三玄院住職、大徳寺住持も務めた誡堂和尚によるお花押が見られるのも喜ばれると思います。
共箱には「一瓢斎造」と竹玄印が捺されています。四代から五代頃の作品と思われます。
▽誡堂和尚と三玄院
誡堂宗省 明治31(1898)生まれ。
塔頭三玄院住職、大徳寺515世住持。戦後大徳寺の復興を心掛け、瑞巌・歓渓・雪窓の各管長と共に尽力する。また、京都の陶工を指導して紫野焼を復興し茶道の発展にも尽力した。昭和59年(1984)遷化、世寿88歳。
三玄院沿革
天正17年(1589)浅野長政・石田三成らが、春屋宗園を開山に請じて創建。千宗旦が喝食(かっしき)としてこの院にあったのも有名。石田三成や古田織部の墓所でもある。茶室は工篁庵(三畳台目)が知られる。
▽作者について
京都の蒔絵師として活躍を続けている伝統的な蒔絵師。初代、二代は一瓢斎長兵衛。三代一瓢斎栄助、四代一瓢斎栄助(安政五年~昭和十一年)、五代一瓢斎栄太郎(明治十四年~昭和四十一年)で、六代一瓢斎栄一郎(明治四十一年~平成十三年)七代一瓢斎栄造、当代は一瓢斎良
▽道具寸法
径73mm×高73mm
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