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金馬漆器と茶道具の歴史
キンマ漆器は竹や籐、木地を器胎として、漆を塗り重ねた上に刀で文様を彫り、それらに色漆を擦り込み、全体を研いで仕上げる東南アジアの漆芸です。これらは中国に始まった「存星(ぞんせい)」という漆芸に近い手法であり、貿易や技術の伝播によって、東南アジア地方に伝えられたと思われます。

東南アジアでは、寺院の装飾や格調の高い托鉢僧の什器として用いたられたり、大切なお客をもてなす為の嗜好品、ビンロウの実を入れる容器として古くから用いられています。
「ビンロウの実」は別名を「キンマ」と言い、この言葉が南蛮貿易時代に漆芸そのものの名称として伝えられたと思われます。用途や中に容れる物が漆芸そのものの名に変化するあたり 「茶の湯」らしさに溢れていると言えるでしょう。「金馬」や「蒟醬」の漢字が当てられています。
お釈迦様の説法を物語化した画題です。
画題:お釈迦様の物語

利休所持金馬茶箱 桃山時代 表千家蔵
利休所持茶箱
これらの塗物は、南方に航路を持った堺の商人によって我が国にもたらされた道具のひとつで、侘び茶の道具として多くの茶人や大名に珍重されるに至りました。伝来する道具は、香合や茶器、喰籠、煙草入等広範囲にわたっており、千利休が所持した茶箱は殊に有名です。

日本の桃山時代におけるビルマ統治はタウングー王朝と呼ばれ、強大な勢力を以てタイのアユタヤ王朝を支配したため、貿易品の多くはタイの貿易港を拠点として世界へ広がったと思われます。現在もなお昔と同じ製作工程で手造りされるこれらの美しい漆器は、精細な文様とおおらかで深みのある蝋色塗が楽しめます。
細川三斎所持

 キンマの製作風景


竹を用いて藍体と呼ばれる生地を編む 蒟醬は藍体と呼ばれる下地を編むところから始まります。円筒形のものは竹や籐、馬の毛などが使われ、箱形のものはチーク材が用いられます。この地方に群生する竹は節の幅が広く、柔軟な性質が特徴です。チークは油分を含んだ強度のある高級材です。

下地作りから漆の上塗仕上まで 藍体が完成すると漆の下塗が始まります。下塗~乾燥~研ぎを繰り返すことで漆器らしい光沢と強度が生まれます。漆はこの地方の南部で採取される漆で、日本漆のウルシオールに対し、チチオールとかラッコールという呼称で分類されています。すべて指で直接塗られていきます。

模様を小刀で彫る 蝋色状に仕上がった漆器に刀で文様を彫る作業です。主な画題は花や唐草、ビルマに伝わる仏教の物語、新聖な動物を意匠化したものがあります。画の構図や配置、きめ細かさは作家(工房)によって異なります。

模様の凹部に色漆や金で色付する 色漆を埋め込む作業です。図案の配置によって個々に配色され、黄、緑、青、赤など色彩感覚も異国情緒があります。色漆を擦り込むと「キンマ」あるいは「存星」となり、金を擦り込むと「沈金」となります。最終的に全体を研いで完成です。完成までに約30の工程を要します。

 作者紹介


(左)生地指物師ウー氏 (右)塗師マゥン氏 (左)工房を監督するウー氏。自身は生地・指物師であり、工房では技術面においても最も信頼の高い職人。朗らかでとても親しみやすく、物造りにかけてとても熱心な人柄です。
 
(右)工房中もっとも腕の立つ塗師のマゥン氏。下地塗りから文様彫り、色付、研ぎすべてをこなす。無口で大人しい性格ながら、塗りの方法や技術に関する事には、とても親切に答えてくれました。

※弊社の作品はすべて藍体・木地はすべてウー氏が、塗りはマゥン氏によって製作されています。

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